2010天文館

日本が誇るアニメ工房スタジオジブリと、CGアニメの最高峰ピクサー。ふたつの会社には長年にわたる親交があり、ピクサーがジブリ作品の英語版の監修を手がけたり、『トイ・ストーリー3』にトトロが特別出演するなど密接な協力体制にあることはよく知られている。ところが厳しい映画興行の世界は友情だけで乗り切るのはムリ。お互いにリスペクトを捧げながらも、王道アニメのライバル同士として激しいバトルを繰り広げているのだ！実際ここ10年近くは、ジブリとピクサーの新作が同時期にかち合うパターンが定番化。2004年冬の『ハウルの動く城』VS『Mr．インクレディブル』を皮切りに、2011年夏の『コクリコ坂から』VS 『カーズ2』まで4度にわたり熱い正面対決が繰り広げられてきた。
日本はジブリのお膝元だけに、世界のピクサーといえど国民的とも怪物的ともいえるジブリ人気を凌ぐのは至難の業。しかし2010年には初めて『トイ・ストーリー3』の興行収入が『…アリエッティ』の92億5千万円を上回り、大台越えの108億円で初白星を上げている。
そして今年の夏はジブリVSピクサー5度目の対決に注目！　宮崎駿の5年ぶりの監督作『風立ちぬ』と、ピクサーの大ヒット作『モンスターズ・インク』の第2弾『モンスターズ・ユニバーシティ』という大物2本が同月公開されるのだ。過去実績はジブリ優勢だが、『モンスターズ…』は『トイ・ストーリー』に続く人気タイトルなだけにいい勝負が期待できる。
もちろん『風立ちぬ』は日本の興行記録を塗り替えてきた“宮崎駿伝説”を味方に付けており、夏戦線の王座を狙う作品であることは確実。ズラリと居並ぶ夏のハリウッド超大作も、この2本のアニメに苦戦を強いられるに違いない。
『モンスターズ・ユニバーシティ』
公開中
『風立ちぬ』
7月20日（土）全国ロードショー
『ぴあ Movie Special 2013 Summer』（発売中）より
文：村山章